"Oori"Project|男鬼プロジェクト

概要

自然に淘汰されながらも、かつて人々が厳しい自然環境の中で生活した痕跡が残る男鬼集落で、私たちは集落に残る7つの民家の保存・活用と、里山風景の再生を目指します。

"Oori"kikou|男鬼紀行

集落での日々の活動を記録し、現地で体感することから生まれる思考の軌跡残すことを目的とします。


published on December 11 ,2023

男鬼紀行#14 川井研炭焼きWS ♯2

朝9時から集落に集合し、前回まとめておいた薪木をドラム缶に詰め、小物類として今回は近くに生えている栗の木の下に転がっていた栗の実や鬼灯などで実験を行った。
前回同様、土でドラム缶を覆い、炭焼きを開始した。今回の焚き口の顔も異なるものとなった。(以下写真を参照)冬で薪木の水分が抜け切っていなかった為、前回に比べ、着火に少し手間取った。しかし、今回は朝から焼き始めた為、当日中に炭を冷まし、回収するまで行うことができた。
今回実験した小物類は、栗の実のみ成功し、鬼灯については跡形も無くなっていた。また前回は行えなかったが、さつまいもを新聞紙でしっかりと包み、ドラム缶を覆う土に埋めておくことで、遠赤外線でじわじわと焼かれた甘い焼き芋を作ることに成功した。

2023.12.11 修士1年 澤木花音







published on December 4 ,2023

男鬼紀行#13 川井研炭焼きWS ♯1

川井研究室新メンバーの最初のゼミ活動としての炭焼きWSに参加した。
今回の目的としては、前回、民家の西側に設置した炭窯が民家に近いという問題点から、民家の東側の少し距離を取ったスペースに移設した上で炭焼きを行うというものである。 移設するうえで、ドラム缶とコンクリートブロックの隙間を埋めていた砂を赤土、真砂土を分けて解体していく。その際、窯の下部の土が熱によって陶器のように硬く固まっていた。
また、この過程では今回初体験となる川井研メンバーにとって、炭窯の構造を理解する良い機会となった。その後、移動させる場所の地面を水平にならし、前回同様に並べて同じ方法で作成した。今回も講師として来てくださっていた幸家さんによると、毎回炭窯を組み立てる過程で最適な位置にブロックを配置する為、炭窯の顔となる焚き口の形状が変わる、とのことであった。
前回同様、移設作業後に炭に利用する木材を集め、ドラム缶に収まる450mmの長さに切断し、次回の炭焼きのために屋内に積んで置き乾燥させておく。

2023.12.4 修士1年 森岡大喜







published on July 28 ,2023

男鬼紀行#13 炭焼きWS ♯3

炭の回収の為、集落を訪れた。ドラム缶を覆っていた土は回収し土嚢袋につめ、次回以降も再利用できるように保管する。
ドラム缶の中には、細すぎる薪木は灰になり、反対に太すぎる薪木は中の方が炭化していないものなどが見られた。炭の保管は収納ボックス、段ボールで行い、ビニール袋に入れてから箱に詰めた。小物を入れた缶の中身は松ぼっくりは綺麗に炭化していたが、杉の葉などは灰となっていた。回収を終え、最後に炭窯をブルーシートで覆い飛ばないように石で固定した。


2023.7.28 修士1年 澤木花音







published on July 24 ,2023

男鬼紀行#12 炭焼きWS ♯2

悪天候により2週間あいての作業再開となった。炭を焼くうえで、設置した炭窯の天候による湿度が懸念されたが、前回の授業の際、炭窯の周りの土を掘り、水捌けを良くし、さらにブルーシートで窯全体を覆っていたことで雨の影響を気にすることなく作業を進めることができた。
ドラム缶の中に前回の授業で集めた木を詰め、それに加え、学生たちが松ぼっくりなど各自で炭にしてみたいものを持ち寄り缶に詰めた。次に、水で練った赤玉土でドラム缶全体を覆い、コンクリートブロックの穴にも土を流すことで、断熱効果と、焚き口を塞いだ際に空気の穴があれば中の木が燃えてしまうため、徹底的に密閉したのち、炭焼きを開始した。初めは一斗缶で加工し、ドラム缶に接合した焚き口で火を起こし、薪木を絶やさないように、徐々に奥まで火を送っていく。初めの方は中の木に含まれた水分が蒸発するため白い煙が出る。そうして徐々に水分を飛ばし、煙が透明になれば焚き口と煙突を塞ぎ火が消えるまで待機する。この時点で日が落ちてきてしまっていたため、炭の取り出しは後日行った。


2023.7.24 修士1年 森岡大喜







published on July 3 ,2023

男鬼紀行#11 炭焼きWS ♯1

本大学の授業の一環で男鬼集落にて炭焼きWSを行った。
炭焼きWS第一回目となる本日は、本大学非常勤講師である幸家大郎先生にレクチャーしていただき、松原式改良ドラム缶炭窯という自作可能な炭窯を制作し、炭焼きは来週以降に行うこととなった。 制作する炭窯はコンクリートブロック、レンガブロック、ドラム缶、一斗缶、煙突、赤土と真砂土を利用した安価なもので、特別な材料・専門的な知識がなくとも容易に制作することができる。
炭焼きに使用する木と、焚き口の火を絶やさないための薪木を拾うグループ、炭焼き窯となるアルミ缶等を加工するグループに分かれ作業を行った。初めての経験で、大人数の作業で難しい作業もあったが、学生たちで協力して加工し、8割まで完成させることができた。


2023.7.3 修士1年 森岡大喜







published on September 28 ,2022

男鬼紀行#10 木材伐採可能箇所の事前確認

今日は、大久保さんが所持されている土地の現地確認を行った。
集落での建築行為では今後、木材が必要不可欠になってくるため、それら木材を製材の状態から購入するのではなく、自分たちで山から伐り出しを行ない、乾燥を行ったうえで来年度以降利用することを目標に掲げることとする。
そこで、今日は大久保さんが所有されている土地の中で比較的伐採作業がし易い場所の選定を行うべく、集落に赴いた。

土地は急傾斜で岩肌が露出した場所や、道から水路をまたいだ場所、比較的平らな場所など様々であったが、どの場所にもある程度共通して直径500mmほどの立派な杉が密集して生えている。
これらは我々が手を加えない限りはただの風景の一部としての木であるが、利用しようと手を加えれば高級な木材になる。奥山資源に目を向け、利用しようとする行為は、そこに眠っている資源に価値をあたえることになる。長年自然がはぐくんできたこれらの資源を大切に活用していこうと思う。

2022.9.28 修士2年 岡田大志







published on September 11 ,2022

男鬼紀行#9 解体ワークショップ3日目

今日は、天井裏の藁屑を撤去し、土間と、ナンド、オクノマの天井、床の解体をおこなった。
床や天井をとりはらうと、構造体が顔を出す。
床下には自分で張り替えられたと思われる根太や、水平を取るために根太に木材をかましていた。オクノマの天井を解体すると、長年囲炉裏の煙によって燻された艶のある赤茶色の竹天井が、吹き抜け空間に象徴的に現れた。見えないところにこそ、古民家のさまざまな魅力や工夫を感じ取ることができた。

集落を横切る通りには、日曜日だったこともあり、車やバイク、自転車がたくさん行き交っていた。時には道を聞かれたり、何をしているのか声をかけられることも多くあった。車から降りて釣りを楽しむ家族もいた。
屋内での作業中、外から人の話し声が聞こえた時、私たちの活動が、男鬼に少しずつ活気を取り戻すきっかけになっているような気がした。

全3日間の日程を終え、家具や建具を大量の埃と共に運び出し、床と天井を解体した大久保邸は、初日と比べると大きく姿を変えた。
今回のワークショップでは、1日1日のスケジュールの中で、少しずつでも着実に、手をすすめていくことの意味を実感することができた。

2022.9.11 学部四年 澤木花音

published on September 10 ,2022

男鬼紀行#8 解体ワークショップ2日目

今日は解体ワークショップの2日目であり、建具や朽ちた柱、壁の解体と屋根裏のゴザの取り外しを行った。屋根裏にはかつて囲炉裏の火を焚くことで発生した煤や茅葺き屋根から落ちた藁、ほこりや動物の糞が長い年月をかけて土になったものが混じり合い、散り積もっていた。空気がこもっており、屋根裏の清掃作業は苦しく、困難なものであったが、暗がりで粉塵が舞う中、煙り出しから差し込む光は屋根裏空間を美しく照らしていた。

清掃を行うことで空間が身体化され、机上の設計では見えてこなかったであろう茅葺民家の屋根裏空間の美しさを感じとることができた。この空間の良さを残してより良い空間を作り上げていきたいと思う。

南側の朽ち落ちた壁面の解体作業では、柱が倒れて壁が独立している箇所や梁が貫構造により柱に接合されている箇所など、安全のために解体する箇所を見極めることが、実際に大切な箇所の構造と付け足されたものとの判断に繋がった。
解体作業を通じて民家のつくりを体感することができた。

2022.9.10 修士二年 岡田大志

published on September 8 ,2022

男鬼紀行#7 解体ワークショップ1日目

今日の目標は、解体作業に入る準備として家の中のモノを全て運び出すことであった。
全て取り払われた後の4つ間取りの空間を見渡すと、垂れた紐にぶら下がっていた古いカーテンや、傾いた家具に残された写真や食器は、「廃屋」の、人が住んでいた気配が取り残されどこかもの寂しい雰囲気を漂わせていた要因の一つであったことがわかった。

残された家具の中には一際存在感のある背の高い立派な食器棚があった。棚は上下に分解することができ接続部にはホゾが加工されていた。釘などの固定具も見当たらず、家の中でも価値のある家具であることがわかった。また、中を整理していると、昔の住人の物を丁寧に保管し大切に扱う精神を感じた。

 家屋から搬出したもののうち、再利用不可能な建具や畳、箪笥に残っていた衣類などは、大久保邸の隣の空き地で火を起こし焼却した。
モノの持つ記憶とともに集落の空に煙が立ち上がる風景は、男鬼集落が息を吹き返しているような雰囲気を持っていた。

男鬼集落に残る古い記憶を少しずつ、慎重に新しい操作で継承していきたいと思う。

2022.9.7 学部4年 澤木花音

published on May 29 ,2022

男鬼紀行#6 川端スケッチ

代謝建築論<か・かた・かたち>にて、菊竹清訓氏が論述している設計理論を男鬼の集落スケールに落とし込んで設計をすることはできないだろうか。

現在、こうした問いを掲げて集落再生プロジェクトを行ないながら自分の思考を深める中で、私は民家の土台となる床(平たい地面)とそれを支える石垣に着目することにした。

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2022.05.29 修士二年 岡田大志

published on May 22-23 ,2022

男鬼紀行#5 男鬼ゼミ

今日は芦澤先生と他ゼミメンバーが男鬼集落を訪問し、現地でゼミ活動を行なった。
集落の到着後、かつて車道が舗装される前まで利用されていた比婆神社まで山道を登った。以前までは車道を車やバイクで登っていたのだが、今回初めて山道をとおったことで新たな発見があった。
比婆神社には男鬼集落から山道の入り口付近に大鳥居があり、比婆神社まで登ったところにもう一つの鳥居がある。
これまで鳥居はこの2つだけだと思っていたのだが、山道を歩くことで忠腹部にひっそりと佇む3つ目の鳥居の存在を知ることになった。
忠腹部にある鳥居は、霊仙山付近の土地の特徴である石灰岩が隆起して道を形成しているようにみえるように人為的に鳥居が設置されており、その岩と鳥居の構成が、当時の比婆神社まで続く道がいかに神聖な禊空間であったかを想起させた。

夕方からは個人が持ち寄り、集落を流れる水路で冷やしておいた食材を使って夕飯を作った。水路にいるサワガニを捕まえ、沸騰させた水路の水でゆでて、塩を振って食べた。サワガニはスナック菓子のような食感であり、ビールのあてにもってこいの味だった。持参したマヨネーズをかけて食べてもみたが、塩だけのシンプルな味付けの方が、素材の味や食感を残しておりおいしく食べることが出来た。

18時を過ぎると、電気のない集落は辺りが暗くなり、焚火の火を囲みながらゼミを行った。遠山では鹿の親子がコミュニケーションをとる声が響いており、火を囲みながらのゼミは男鬼に棲む野生動物と更新している気分になった。

2022.05.23 修士二年 岡田大志












published on May 21 ,2022

男鬼紀行#4 寺前の庫裏清掃

今日は、次回からの宿泊場所として利用するために寺前の庫裏の掃き掃除、雑巾がけを行った。
水道がないため、水路から水を汲んできて利用したが、数10年の汚れはかなりひどく、何度も水路と庫裏を往復し、水の交換を行った。
日中磨き続けた結果、寝袋を敷けば寝床として利用できるほどきれいになったが、きれいな状態を維持するにも水の利用や人が常に管理する必要があることなど、これからの活動のハードルの高さを思い知った。

2022.05.21 修士二年 岡田大志









published on May 8 ,2022

男鬼紀行#3 春祭り

今日は、男鬼集落内にある日枝神社と、その先にある比婆神社で春のお祭りがありました。
私たちはお祭りの準備からお手伝いさせていただきました。
かつて、男鬼集落に住んでおられた方々に加え、周辺に住んでおられる氏子の方々も参加され、廃村集落とは思えないほどのにぎわいを見せてくれました。
儀式中は時間の流れが変わったように静かで、風の音が心地よく、あっという間でした。
比婆神社は集落から車で8分上がった場所にあり、その過程が「禊」となり、清められた体でお祭りに参加する、神様に対する礼儀になるそうです。
清められた心で、改めて、男鬼での活動に励んでいこうと思います🌿

2022.05.08 学部四年 澤木花音

published on May 8 ,2022

男鬼紀行#2 畑実測

本日は先日耕した畑を再度耕し、土をならす作業と畑周りの石垣の実測を行いました。
そこにはかつて蔵があり、現在では石垣だけが基礎として残っている状態です。
蔵があった歴史やかつての住人がそこをどのように利用していたかなどを想像しながら図面を書くことで、これからのその場の使い方や設計物を少しでも土地に馴染むものにできればいいなと思いました。
畑をやり始めたことで鍬などの道具やそれを簡単に出し入れできる倉庫がほしい、雨を貯める水瓶のようなものをおいて、川に行かなくても水をやれればいいな、など、やってみることで見えてくるものが多く、徐々にそれらを形にできればと思います。

2022.05.07 修士二年 岡田大志

published on May 4 ,2022

男鬼紀行#1 開墾

雪解け後、2度目の作業日でした。
去年耕していた畑の隣に、新しく畑を耕して、桃原集落で分けていただいたごぼうの種を植えました。
男鬼ごぼう復活の第一歩です。 道中で摘んだ山菜は、今夜の食卓に並びます。。
私自身、半年ぶりの現地でしたが、新緑に包まれた男鬼の風景はまた違った顔を見せてくれました。

2022.05.04 学部四年 澤木花音