【COVID19関連】建築を学ぶ君たちへ～学科教員からのメッセージ（その6）

　今私たちは、たった半年前の世界が予想していたものとはまったく違う場所にいます。つながり、集まり、にぎわう建築を、少なくともこの瞬間は手放しで喜べません。「3密」が、これまでの建築が望んできた空間であったことに気付かされます。
　とはいえ、これからの時間もまた、これまでの時間の先に広がっていきます。私たちが置かれている状況は相対的なものなのです。ゆえに大切なのは、この事態の先に続く建築の未来を考えることです。この状況を唯々諾々と受け入れることなく、周囲を鋭く観察しながら、なすべきことを大胆に選択していってほしいと思います。
　どうか、突然やってきたこの時間を、自分自身のために好きなだけ使ってください。本や映画、音楽などはよき友になるでしょう。友人たちも相手になってくれることでしょう（直接は会えないけど）。今回の事態があっても、なくても、その重要性だけは変わりません。健康でさえいられれば、この時間は必ず、あなたの身に生かされるはずです。建築の学びの場に、ようこそ。

2020年4月27日　准教授　山崎泰寛


　新入生の皆さん、ご入学おめでとう。
　新しい年度をこのような状況の中で迎え、顔と顔を合わせて話すことも難しく、新しい友達と一緒に学ぶ機会を持つことができないことはとても口惜しく悲しいことです。
　在学生、院生のみんなも、このような状況の中で不安な思いを抱えていることと思いますが、この状況はまだまだ長引くことになるかもしれません。
　特に１回生、編入生、大学院１回生の中には、４月から彦根で新たに下宿生活を始めた人たちもいるでしょう。知り合いも少なく、外出を制限される中で、ともすればひとりで過ごす時間が長くなりがちですが、このようなときにこそ友達や家族とのコミュニケーションが大切です。意識して定期的に連絡を取り合うなど、身体的な健康だけでなく、精神的な健康にも是非配慮して（経済的な問題も同様です）、ひとりで孤立することのないように気をつけてください。SkypeやLINEなどのビデオ通話を利用するのも今後の新しい社会のあり方を切り開く良い機会になるかもしれません。
　ともかく困ったことがあれば、些細なことでもSOSを。誰かに気付いてもらうことが大切です。
　困難な事態ですが、力を合わせてみんなで乗り越えていきましょう。

2020年4月27日　講師　迫田正美


　建築の歴史は現在のみなさん同様に、過去の人々が建築と関わってきた事実の蓄積です。全世界が在宅で過ごす現在も、歴史的事態として後世に伝わるはずです。制約であると同時に、新しい観点で建築を学ぶ機会です。まずはゲームです。歴史を題材とするゲームでは建築表現の何が史実に基づくか読み解く学びがあります。心地よい仮想空間のデザインも意識して見ると多くの知見があるはずです。歴史の記録には深山幽谷へ籠りて後に新たなるパワーを獲得する物語が多く知られています。現代では深山幽谷に代わり外部と隔絶した自室へ籠ることができます。みなさんこそが、これからの建築に新しい発想をもたらす可能性が高いでしょう。日々を大切に過ごしてください。

2020年4月27日　講師　高屋麻里子